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歌舞伎症候群責任遺伝子のMLL2遺伝子とは [海外の活動紹介]

(最初に)ブログでは掲載に限界がありますのでもっと詳しくは
歌舞伎ジャーナル  第103号

昨年8月に発表された「歌舞伎症候群の責任遺伝子の同定」について、米国の文献の翻訳を中心にもう少し詳しく記したいと思います。
まず、歌舞伎症候群患者の約70%にMLL2遺伝子の変異が認められたとされています。MLL2遺伝子の役目としては多くの臓器や体の組織をつくる遺伝子と紹介されています。
①MLL2遺伝子はどの染色体のどの部位に存するか。※1
細胞遺伝学的場所: 12番染色体のq12-14
      分子場所:塩基49412757~49449106
図1 MLL2.jpg

②MLL2遺伝子にどのような変異(mutation)があるのか。例を示します。※2
原文ではNonsense Mutation or Frameshift Mutation としています。
(1)Nonsense Mutation…DNA1塩基が他のDNAに突然変異する
図2は塩基の並びを示した図ですが、3つの塩基の並び方で、作られるアミノ酸が変わってきます。しかし、3つ塩基が並べばすべてアミノ酸が作られるわけではなく、図3の「生命のルーレット」にあるように「STOP」してしまう並びかたもあります。再度図2を見るとT-A-Gとなり、アミノ酸のつくりがストップしてしまいます。歌舞伎症候群にはこの突然変異があります。
図3の「生命のルーレット」の使い方は、円の中心から外側へ連続する3つの塩基をあてはめると、生成されるアミノ酸の種類が判別できます。T-A-Gの場合は「ストップ」となり、G-G-Aの場合は"Glycine"というアミノ酸が生成されます。
図2 nonsense















図3生命のルーレット01.JPG

(2)Frameshift Mutation…DNA1~2塩基が配列の途中で欠失してしまうDNA突然変異
図4は上下に同じ塩基の並び方を示していますが、本来作られるべきアミノ酸がFrameshift Mutationにより、本来作られるべきアミノ酸とは別のアミノ酸が作られる突然変異(図3参照)も歌舞伎症候群にあります。
図4 frameshift















出典:
※1MYELOID/LYMPHOID OR MIXED LINEAGE LEUKEMIA 2; MLL2
※2Molecular Genetics

その他
 原文を読んでいるとしばしば"mutation"や"variation(variant)"という似た様な単語が使われます。また、日本語で「変異」は英語に変換すると①"mutation"②"variation"がありますが、①は、遺伝子の化学的構造の変化で、この変化が起きた細胞が分裂してもその変化は永続する、染色体分子の塩基対の配列の変化。突然変異。②「多様性」や「変化」をあらわすときに用いる。


((テーマ:市民公開講座「遺伝子レベルでの研究」)
私が住む自治体では毎年「京都大学霊長類研究所」の公開講座が実施されます。
2008年8月22日私は大変恵まれた環境に住んでいます。(感謝)
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